Page Top


15 Oct. 2015

IST India Tour 2015 Report     Yoshiaki Tsuganezawa (UTokyo)

・affiliation :Graduate School of Information Science and Technology, the University f Tokyo
・duration :September 23rd-30th, 2015
・program :IST India Tour 2015

飛行機を降りた直後の異国の空気が身体を包む時のあのなんとも言えない感覚、違和感と緊張感と期待感がないまぜになったような感覚がたまらなく好きだ。インドの空気はだけど、心なしかカレーの香りがして思わず口元が緩んでしまったことを覚えている。

今回インドに行ったのは、ITにおける重要性の増すインドのことを知りましょうという企画に参加したからで、情報系の学生としてアジアのシリコンバレーと言われる都市に興味があったからだ。

 

けれどいざ、インドに着くとはじめはそれどころではなかった。

広大な大地、都市に溢れる人々、建設途中で放棄された家々、高級ホテルから見下ろすトタンを集めて作った家、でこぼこの道路を埋め尽くす車、道を歩く牛、ヤギ、犬、クラクションで溢れる音、異なる宗教、言語、何もかもが日本と違いすべてが渾然一体となった世界が広がっていた。

それをうまく語る言葉を見つけられず、ただただ五感から入る情報を少しも落とすまいとするのに必死だった。一方で夜に見上げる月は日本で見る月と同じで逆に奇妙さを感じたりもした。

人間面白いもので2,3日もするとかなり慣れている自分がいて、何より食事が最高に美味しかった。食事はさておき、今回の一週間の旅程では、日系企業、研究所、外資系企業、大学と様々な施設を巡りまたお話を伺う機会があった。旅程を終えて感じたことがある。

一つは、日本がグローバルにアカデミア・ビジネスを考える時、インドに注目すべきであるということである。それは、単に市場として大きいから、市場の成長率が高いからというだけではなく人材市場としてのポテンシャルが非常に高いと思うからである。幾つか理由があって、一つは人口が多いので優秀な人材の絶対数が大きいこと、もう一つは日本のように成熟した教育システムが存在しない中で学問の競争をくぐり抜けてきた優秀なインドの学生には日本の学生とは比較にならない主体性と熱意があるからである。後者については、IITHでインドの学生と話す中で強く感じた。こうした人材をいかにうまく獲得していくかが大切だと感じた。同時に感じたのは、日本の大企業はインドを次の中国と捉えて過去のベストプラクティスを移植する傾向にあるがそれだけでは現状維持しかできないだろうということ。インド市場のパイを取ることももちろん大切だがインドの人材、環境をリソースにグローバルのパイをどう取るかが鍵なのではないか。現にアメリカは30年前からバンガロールに着目し次世代のIT都市として米企業の積極的な誘致を政策として行い現在では現地スタートアップの育成、メガベンチャーによる買収、優秀な人材の登用を行っている。

もう一つは、日本の学生は、対外的な意識を持たなければいけないということである。言葉にすれば当たり前のことではあるが私自身の自戒を込めればやはり対外的な意識というものに欠けていた。単に世界がどうなっているかを知るとか世界情勢に即して自分を変えていくということではなくて、世界に自分たちが働きかけるということの必要性を痛感した。キャッチアップするのではなくリードしていくこと。そのためには常に世界に対して広範な分野での主体性を持たなければいけないのではないか。

自分の思考の枠組みを広げる上でとても貴重な体験ができました。このような機会を設けてくださってありがとうございました。