24 Apr. 2019
India Tour Report 2019 Takashi Sakamoto (UTokyo)
・affiliation | :物理工学科 |
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・duration | :February 20-27, 2019 |
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・program | :工学系研究科インド工科大学デリー校と企業視察 |
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デリー滞在録
自分にとって、海外での生活は魅力的であり、刺激的で充実した毎日を送ることができた。この手のプログラムに参加したのは初めてで、不安要素もいくらかあったが、もし少しでも興味がある人には積極的に参加することを勧めたい。
参加動機
家族含め身の回りに国際的に活動している人が多かったため、もともと海外での生活に興味(と憧れ)があった。もし自分がアカデミックな方面に進むのであれば、海外に出て競い合いたいという気持ちがあったし、そうでなくとも、海外に滞在して日本にない文化、考え方を知ること自体に価値があると思っていた。一方で、入学後4年間泊まり込みで部活動に打ち込んでいたため、時間をとって留学するチャンスがなかった。部活動中は自分の将来についてあまり考えなかったため、引退後はなるべく幅広い分野を見て積極的にチャレンジしたいと思っていた。卒論の後は時間ができるのでどうしようかと考えていたところ、このプログラムの募集を見つけたので、申し込んでみることにした。
概要
期間は2/20~2/27の一週間。工学系におけるトップ大学であるIIT Delhiへ訪問し、研究室見学や講義の参加、学生との交流をした。それからHONDA、TATA Consultancy Servicesといった現地の企業や、NGO、JICAの見学をして、インドの文化や日本との関わり方を見てきた。昨年までのレポートを読む限り社会基盤や機械の学生が多いようだったが、今年は幅広く募集をかけたためか、物工、マテ工、シス創などの学科からも参加していた。1日目から簡単に振り返っていきたい。
1日目
成田集合。JALでDelhiへ。行きのフライトには10時間以上かかったが、3時間半の時差があるので空港に着いたのは現地時間の18:00頃。空港を出たとき、意外と過ごしやすそうな気候だと思った。ただ空気は霞んでいて野良犬も多く、清潔ではないので油断しているとすぐ身体を壊しそうだと感じた。バスでホテルまで向かうとき、早速インドの滅茶苦茶な交通を目の当たりにした。車間距離の詰め方が凄い。少しでもスペースが空いていると他の車が割り込み、脇をかすめて追い越していく。鳴り続けるクラクションと地面から座席に伝わってくる振動が印象的だった。ホテルに着き、向かいのレストランへインド初の食事をとったが、ちゃんとしたレストランでは口に合わないようなことは全くなく、美味しかった。ベジタリアン用のメニューがあるのはなかなか珍しかったし、種類も豊富だった。帰ってシャワーを浴びたが、お湯は出ない。寝る前も夜通し外からクラクションが聞こえてきて、インドっぽいなーと思いながら眠った。
2日目、3日目
この二日間はIITでの講義、研究室訪問と学生交流。朝からメトロでIITへ。メトロでは改札にはゲートが設置されていて、特にお酒の持ち込みに厳しい。そもそもインドではお酒自体がモラル的にあまり良くないようで、飲酒はデリーでは25歳から、酒屋も夜10時には閉まる。これは宗教上の考え方からくるもののようだ。講義はプログラミングや気象学以外に、経済や教育絡みの内容が含まれたものを受講した。目立った特徴としてはどの授業も学生との対話や議論が多く含まれていることで、工学系でこういう形式で授業が進んでいくのは新鮮だった。学生側も激しい競争の中で入学してきただけあって、モチベーションが高く積極的。空き時間キャンパス内を散歩していると、犬だけでなくリスやクジャクもいて、動物にも多様性がある。研究室見学は物工の3年生2人と一緒で、スピントロニクス関連の研究室を訪問し、研究内容と実験装置の紹介をしてもらった。かなり専門的な部分まで説明してくれたが、難しかった…。授業後の時間はIITの学生との食事や観光。特に3日目に行ったRed FortはIITの学生としっかり回れたのと、写真をたくさん撮ってもらい、楽しかった。日本人が珍しいのか、インド人が写真好きなのか、観光に来ている人に写真を撮って欲しいと頼まれたときは大体一緒に撮ることになる。レストランやマーケットにも案内してもらったが、行くまでの道のりがまた楽しかった。インドのそこら中に走っているオートリクシャ―(三輪のタクシー)に初めて乗ったが、ドアもない状態でめちゃくちゃな走り方をするので、スリル満点で、この時が一番盛り上がったかもしれない(笑)
6日目、7日目
この二日間は企業の視察。6日目の昼はTATA Consultancy Servicesを訪問した。日本にいた頃は知らなかったが、TATAはインド最大の財閥で、グループ企業の一つであるこのTCSも、ソフトウェアを中心に幅広い事業を手掛けている。学生からも簡単な自己紹介プレゼンをし、自分らの興味分野やインドへのイメージについて知ってもらった。夕方からJICAを訪問し、日本からの支援内容について話を聞いた。鉄道をはじめとするインフラ整備のための融資や技術提供がメインだが、宗教、文化含め、多種多様な層の人々が生活しているため、環境に手を加えるときに検討する事項が多く、想像力が必要になるのはインド特有の難しさかもしれない。
7日目はインド最終日。ホテルのチェックアウトを済ませて、HONDA工場の見学をした。インドにおける自動車のシェアはほとんどが日本で、1位にSUZUKIが半分以上を占めており、次にHONDAが続く。実際に道を歩いていても日本の車を見かけることは多かった。自分は機械系ではなかったので工場見学は初めてで、組み立てのラインも見るのは初めてだったが、特に溶接の現場には目を奪われた。日本ではほとんどすべての工程が自動化されているが、インドの場合にはまだコスト的に人を使う方が良いとのことで、このあたりにも日本との違いを見ることができる。今回のプログラムはここまでで、最後にお土産を買ってインドを出た。帰りは風に乗っての6時間半のフライトで、翌日の朝に成田に到着して解散(8日目)。一週間を通して体調は良く、このツアーを元気に終えることができた。
まとめ 今回のプログラムは、ホテル、フライトから、IITの学生との交流の機会や講義の調整、企業の視察まで、大変な部分を全て手配して頂いて、現地での活動を楽しむことができた。インドはまさに多様性の国で、毎日新しいものが目に入ってくる。こういった経験は久しぶりで、気持ちのリフレッシュとしても良かった。特に生で見るインドの発展、膨大な人口を抱える新興国の勢いは強烈なインパクトがあるし、脅威にも感じる。また今回は同行したメンバーからも刺激を受けた。専攻もばらばらなのでこのプログラムで初めて知り合ったが、皆積極的にコミュニケーションをとっていて、自分もこれから頑張ろうと思えた。雑談しながらの観光も楽しく、一人で行くよりずっと良かった。
最後に
日本へ帰国した日の昼、インド-パキスタン間の衝突のニュースが流れた。インドに来る前は半ば聞き流していたような話が身近なものとして感じられ、現地で聞いた分離独立の話を思い出した。インドというワードが聞こえるとつい耳を傾けてしまうし、新しい場所に行くと今まで気に留めなかったことが違って感じられる。
関係者の皆様、素晴らしい機会を用意して頂きありがとうございました。特に今回のプログラムに関しての手配や現地での引率をしてくださった国際推進課の小山さん、長岡さん、社会基盤学科の蘇先生、お世話になりました。