28 Apr. 2017
India Tour 2017 Report Satoshi Morishita ( UTokyo )
・affiliation | :Master Course of Civil Engineering, the University of Tokyo |
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・duration | :March 12th -20th, 2017 |
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・program | :India Tour 2017 |
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インドツアーで印象的だった3つのこと
この報告書は私が今回のインドツアーで印象的だった3つのことについて記述するものである。インド工科大学デリー校の訪問をはじめコンテンツが非常に充実したツアーであったが、その中でも特に印象的だったデリーメトロ現場見学、ホンダ工場見学、インド人学生との交流について書かせていただく。
1 デリーメトロ
デリーメトロとはデリー市内を走る地下鉄である。現在6路線を有しており、総延長約193km、駅は148ある。日本のインドODA案件で最も成功を収めている案件と言われており(途上国大規模工事案件にもかかわらず工期短縮に成功、工事における”安全”の概念の導入、乗車ルールの設定による乗客モラルの向上など)、日本のODAの一つのモデルケースとされ研究も積極的に行われている。今回のツアーでは建設現場の見学と駅構内の様子を実際に利用して視察した。
まず建設現場であるが、印象的だったのが作業員と管理者の関係が非常に明確であることであった。管理者の方が工事の内容や設備について説明してくださったのだが、その説明しているときに工事作業が行われ、騒音により説明の内容が聞こえなくなるとヒンディー語で「やめろ!!」と強く作業員を怒鳴りつけるのだ。これは管理者の腰が低く、作業員となるべく友好な関係を築き上げようとする日本の建設現場とは大きく違うもので、カーストや教育レベルによる明確な地位のクラシフィケーションがなされているのだなと感慨深いものであった。2点目に印象的だったのが工事現場全体がおっとりしているということだ。単純に作業員が少なく、ローテを組んでいないだけかもしれないが、基本的に作業している作業員の数は日本の比で少なく、また休んでいる人の割合も大きかった。私たちが現場見学の休憩をはさむと一緒にジュースとチップスを食べ、セルフィーを行うかれらの健やかな表情を見るに、非常にワークライフバランスがとれた労働環境になっているのではないかと推察される。これだけの余裕をもって現場を回していける十分に余裕をもった計画策定が行われているのだろうか。総じてインドの労働事情の一面を垣間見ることが出来る良い機会であった。(本来の視察の目的とは離れるかもしれないが。)
次に実際の利用を伴ったメトロの視察であるが、これは駅構内に大きく設けられたデリーメトロ事業の意義プロバガンダとその中でファンディングを行った日本のJICAが大きく強調されている点が非常に興味深かった。というのも国際協力の授業において「日本のODAの目的が自国の利益重視」へと舵切られ「ODAの見える化」が叫ばれている一方でそういった事例はまだまだ少ないということを学習したからだ。このような日本の貢献が見える化され、日印の友好関係に大きく寄与するような事業が今後も広く行われていくことを祈るばかりである。
工事現場(地下)の様子 現場見学後の様子 作業員も一緒に休憩を楽しんでいた
2. ホンダ工場
日本が誇る世界的自動車メーカの一つであるホンダはインドに二つ工場を持っており、今回はそのうちの一つである〇〇工場を見学させていただいた。この工場単体で自動車の各種部品の製造から組み立て・塗装まですべて行える設備が搭載されており、ホンダのアジアの生産拠点の中でもかなり重要な位位置付けであるようだ。この工場の建設に際し、昨今の自動化の波に逆らい「なるべく自動化をしない」ということがテーマとされた。その理由としてインドは人件費も物価もいまだに低く、自動化を行ってもコストカットの幅が限られ、高い初期投資費を捻出する意義が少ないことが挙げられていた。実際工場を回らせていただいたが、どうしてもロボットで作業しなければ著しく効率性が落ちる部分以外に関しては、ほぼ人間の手で作業が行われていたようだった。従業員の教育も徹底しており、工場内に専門の教育センターが設けられてた。(余談だがスタッフの間で一番人気の工程は巨大ロボットを操作する工程だそうだ。)
この行程で自分にとって興味深かったことはグローバルに起こっている経営の合理化の潮流に対してのホンダの哲学の在り方だ。資本市場との対話が重視されている昨今、効率的に利益を上げることが求められいるが、その潮流にも動じないホンダのものづくりへの精神が印象的であった。先の話にもつながるが積極的に人材教育を行い、現地の製造業のレベル向上に貢献しようとする点や、販売価格を抑え利益が限りなく0になってしまっても現在の薄利多売の方針を崩さないなど哲学を決してぶらさないホンダのインド法人の経営方針は自分の中のいままでの価値観と相反するものであり、衝撃であった。
3 インド人学生との交流
ツアー行程にはもともと含まれてはいなかったが偶然にもIITDの生物化学科の生徒と交流する機会があり、彼女の身の上話や将来の目標の話を聞くなどした。名前はAnantさん、22歳。可愛らしい笑顔がとてもチャーミングな彼女だが、出身の地域での女子学生としては初のIIT合格者であるらしく(そのせいか地元紙のニュースになったらしい)その自信とエネルギーは筆舌に尽くしがたいものであった。彼女の話(日本人の恋人の話や小学校のボランティアの話など)はぼんやりと人生を送ってきた私にとって非常に刺激的で身を省みさせられるものであったが、何よりも刺激的だったのがその視座の高さだ。IITDにマークザッカーバーグが来る機会があったそうだが、その時5人しかできない質問に選ばれたことを非常に誇りに思い(ちなみにこれも新聞に掲載されたらしい)、いつの日かマークザッカーバーグのような何者かになることを信じてやまない。世界で5人しか選ばれないオックスフォードのリサーチプログラムに応募し合格。自分がガンになったことから生物化学と生物機械のダブルディグリーでマスターを取り、そのような大きな病気をなくそうと尽力したいと考えているらしい。総じて常に世界を見ており、その中で自分がどういう存在になっていくかをしっかりと考え、非常に高いモチベーションでそれに向かいたゆまぬ努力を続けているのが見て取れた。この体験が自分にとって、この旅でなによりも衝撃的で価値観を揺さぶられた貴重な経験であり。今後の人生自分が社会的存在としてどうなっていきたいのか、そしてそのためにどんなレベルの努力をしていかなければならないのか再興させられるに至った。残り1年の修士、そしてその後の社会人生活をこの出来事を忘れずに、努力していきたい。
In this tour, there are 3 point by which I felt really impressed.
Field trip to Delhi metro construction site and the office of Japanese International Cooperation Agency (JICA)
- Factory tour for a Honda car factory.in India
- Communication with an Indian student in IITD.
All of them were definitely great experiences that I would have never gotten by myself and were very impressive because I was able to get to know about activities of Japanese institute and company in India and the level of top Indian students. Especially the third one was amazing, which was communication with a girl who had much high level of view about the career of herself.
These experiences gave me the chance to reconsider my career vision and future life plan.
Thanks for this tour and foundation of it.