Page Top


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019        Go Hashimoto (UTokyo)

新たな出会いと可能性の国、インド

1.  I I T 生や教授との交流

インドに行く前から、IIT生徒の交流はかなり楽しみにしてました。彼らは、難関入試を突破してきたエリートたちで、その多くが将来GoogleやMicrosoftで活躍する人です。2月21日、22日の2日間で彼らと授業を受け、食事や観光地を回りました。皆、気さくでとてもフレンドリーで話していて時間があっという間に忘れてしまう、そんな夢のような時間でした。また、オペレーションリサーチを専門にするIITの教授の研究室を訪問した際には、彼が育った故郷インドの社会問題を解決するために、アメリカで修士取得後インドに戻ってきた、そんな彼の強い眼差しに心を打たれました。

IIT 授業の生徒 研究室のメンバーと

2.企業訪問

コンクリートを製造するNGO団体Tara, Tata Group, HONDA, JICAを訪問しました。Taraでは、産業プラントの廃棄物をコンクリートを形成に利用してることを学び、それは森林破壊が深刻なインドや、リサイクルを 重視するインドならではと思いました。技術力では日本には劣るが、彼ら独自の方法で安価で環境負荷を抑えていくそんな技術を求めているのかなと感じました。

Tata Groupはさすが財閥だけあって、officeの豪華さ、提供される品々、全てが豪邸かのようでした。しかし、それをうらずけるだけのビジネスモデルがあることを知りました。例えば、産学連携でも、世界トップを含む250程の大学と共同研究していて、日本の会社でここまで大学とつながっている会社はあるのかなと思わざるを得ませんでした。Block Chain やロボットの強化学習など、先端技術などを促進してプロダクト開発に取り組むチームが紹介していた技術はとても魅力的なものばかりでした。

3. 2回目のインド

2年前に初めてインドに行った時に、町の混沌さに衝撃に受けました。その時に人々の優しさや明るさに心を奪われ好きになりました。しかし今回 町のカオスさは正直なところ全く改善されていませんでした。観光客が多く集まるタージマハルのトイレでチップ取りがなくなる等、少しずつ変わっていく兆しはみられました。 今回は、アクティブなメンバーと共に、より深い社会勉強ができたと思います。特に、売春街を通った時には、人身売買で連れてこられた売春婦たちが、なりふり構わず自分たちの生活のために必死に生きているリアリティーを感じました。また、少しでも小金を稼ごうと、物の値段を高額に割り増ししてくる人が町にもホテルにも空港にもいて、その人たちとやりとりをしているうちに、生きる意味について考えさせられました。

4. 最高の友人との出会い

今回一緒に行ったメンバーは、とても皆気さくで面白かったです。その中でも、僕の人生に大きな影響を与えてくれそうな友人 奥田亮史君との大きいものでした。彼は、行動力があり、挑戦を恐れず魅力的な雰囲気をもっています。彼と話をしているうちに、共通のビジョンをもっていることにも気づき、将来どこかで彼と関わる日がくる予感がします。

奥田 亮史君(右)

”Termia Kasih”

蘇先生、小山さん、長岡さん、インド工科大学の先生方、本当にお世話になりました。ありがとうございました。


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019        Ryoji Okuda (UTokyo)

「裁定機会の縮小と自然との調和」

2019年2月。立春を過ぎても寒さの残る東京を後にし、私はインドの首都・デリーに降り立った。

インドではあらゆるものが安く、物価は大体日本の4分の1程度であった。

この国では、500円程出すと、日本でもかなり豪華な部類のご飯にありつける。

地方の貧しい家庭で産まれたために、親に売られ、1000円にも満たない金額で体を売る少女がいると言う。

実際に私も、帰り道のデリー国際空港で、中国製のandroidスマートフォンを購入した。

Amazonの最安値よりも1万円程安くなっていたし、写真を撮るときの煩わしいシャッター音もinternational版のこの端末からはしない。

この国で「沈没」するバックパッカーは数知れないと言う。

沈没したバックパッカーは一つの安宿に定住し、旅の資金が尽きるまでダラダラと時間を過ごす。

でも私は、もう一度インドを訪れたとしても、日本から持ってきた外貨を使って、その蜜を吸い続ける気にはなれない。

これから人口が急激に減っていく日本では、労働力の不足が大きな問題になる。

とりわけIT人材の不足は、ソフトウェアが影響力をもつ21世紀の世界において、国力を相対的に低下させる大きな原因となるだろう。

インドは、IT人材の育成を重点的に進めており、実際に話したIIT Delhiの学生も機会があれば高給を求めて将来日本で働きたいと口を揃えて言っていた。

2019年現在の私たち日本人の生活水準は、インドのそれよりも遥かに豊かなものである。

しかし、インドの急速な拡大の下に、それが過去のことになる日が近づいている気がして、危機感を覚える。

私はWikipediaを読むのが好きである。

例によってインドの文化について調べる中で、インドの伝統医学であるAyurvedaの存在を知った。

私の調べた限り、これは、精神や肉体・自然との調和に重きを置く生き方の体系のようである。

体内の化学反応のメカニズムを分析し、人口的・化学的な生成物で、体の不具合に働きかける西洋医学と比べると、

食べ物や生活習慣を変え、自然のハーブとともに、体内のバランスを整えるこの営みは、前近代的なもののように感じる。

目を閉じて思考を止める。

生まれてきたことに、今この満ち足りた瞬間に、ただ感謝する。

デリーのホテルで瞑想をした後に、ふと日本で慌ただしく生きている私たちが、何か大事なものを見失っているように感じた。

デリーで話した学生は、日本で生まれた私を羨ましいと言っていた。

日本に生まれた私たちは、インドで生まれた彼らよりも幸せなのだろうか?

今の私はそうは思わない。

人工物に囲まれる私たちは、自然との調和を失っている気がした。

大事な「何か」は、インドで買ったこのandroidの中には無さそうだ。


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019     Chiaki Furusawa (UTokyo)

インドツアーを終えて

わたしが今回のインドツアーに参加したきっかけは、単なる個人旅行ではなかなか行くことのできない場所を訪れ、世界の中で存在感を増すインドの現状を見られるまたとない機会だと思ったからだった。

また、画一化が進む世の中で、日本とは文化が大きく異なるように感じていたインドを体感してみたいと思ったことも志望した大きな理由だった。

・生活や文化について

文化は確かに異なり、とても面白かった。

食事に限っても、ベジタリアンであることは珍しいことではなく、ファストフード店でもベジタリアンメニューがそうでないメニューと同数くらいある。また、お酒を売るところはほかの食品を売るところと明確に区別されているし夜間は営業していない。現地大学生と食事するときもお酒は当たり前のようには出てこない。知識として、「宗教的理由がある」と知ってはいても実際に目にして、そしてそうである人に話を聞くと、これまで「どこかのだれかがしているらしい慣習」、だったものが実感をもって受け入れられた。

また、インド女性はおしゃれだった。サリーなどへの装飾、アクセサリーなどに特化した大きな市場があり、道路でモノを売る小さな子供でもピアスをつけていたりして、なかなか面白かった。ほかにも、物珍しいからかもしれないが、人懐っこい人が多いように感じた。日本の歌知っているよと言って三曲ほど歌ってくれるおじさんに遭遇したり、赤の他人である自分に対して写真を撮ろうといって話しかけてくれる人がいたり、愉快な人々だった。

そんなインドであったが、インフラについては少しつらいものがあった。

道路がぼこぼこして、レーン分けが守られない中、車やトゥクトゥクはすごい速度で走行する。ホテルのシャワーはお湯が出ない(なお、これがインドのスタンダードというわけではないらしいことも書いておく)。街中でも電波の届かないところがちょくちょく存在する。普段日本で生活していて意識しないインフラのありがたみを実感することとなった。

鉄道に関しては、JICAの方から伺った話が記憶に残っている。鉄道を作ると、早く・時間通りにモノや人が運べるようになる。それは、これまで運べなかったものが運べるようになるのはもちろんだが、時間感覚の導入にもなる。さらにそれは時に人の意識をも変えるという。インドでは法律では禁止されているはずだがカーストの影響が色濃く残る。そのためデリーメトロ導入の際、身分の異なる人々が同じ車両に乗るシステムには反対があったそうだ。しかし、その便利さに、今では反対していた層も含め身分関係なく利用しているという。

人の意識を変えるのはとても難しいことだと思うけれど、今なおあるというインドの身分の差はこのような形で少しずつ解消されていくのかと面白く思った。

・教育や産業について

今回のプログラムでは、インド工科大デリー校やTATAグループなどのインドの大変優秀な方々を訪問する機会があった。IITの学生たちは、普段から授業等で英語を使っているだけあって、当たり前のように流ちょうな英語を話す。自分の英語では言いたいことを伝えられなかったり聞き取れなかったりと、意思疎通ができずに悲しく思う瞬間も少なくなかった。

TCSでは、学生に大学院進学への奨学金制度を設けていると聞いた。必ずしも奨学金を受け取った人が入社するわけではなく、時には海外のライバル企業に就職してしまうこともあるそうだが、それでも見返りを求めず、自国の優秀な人を育てたいとの思いから奨学金を支給しているらしい。

その懐の深さに驚くとともに、インド人材が躍進している理由が少しだけわかった気がした。

インドは農業人口が全体の六割を占める一方で製造業は一割強と少ない。確かに、考えてみれば日本でインドの製品を見かけることは多くないし、インドの電子機器市場を訪れたときも、店の人はおいてある商品は基本的に中国製であると言っていた。JICAの方によると、インドはこの現状を変えるべく、現在低い農業の生産性をあげ、それにより生まれる余剰生産力を都市に流入させて製造業に従事させる方向に舵を切っているそうだ。人口が多く、人件費も安い、優秀な人材もいる、などの圧倒的な強みを持つインドの今後が楽しみになった。

街を歩いているとショッピングモールやTCSのようなすごく現代的な建物群と、粗末な家屋群の対比が鮮明だった。それだけに、研修を通して、インドは一定以上の人に対する支援が整っていると感じたのに対して、非常に貧しい人々へのアクションはあまり聞くことはなかったのが気にかかった。上に述べた製造業振興にしても、働くのは一定以上の教育を受けた人である(HONDA工場はそうと聞いた)とすれば働き手として筆頭に上がるのはおそらく彼らではない。極貧の人が貧困から脱出することは政府や組織などの「支援」する立場のものの直接的短期的利益にはきっとあまりならない。けれどどうすれば解決されるのだろうかと、同行した学生と話し合ったりもした。簡単に結論が出るものではなく、考えはインドにとどまらず、日本や自分自身のことに及んだ。様々なものの過渡期であるインドを見ることはこれまで自分の生きてきた社会の成り立ちやこれから、そして自分自身を考え直すきっかけになった。

とりとめのない文章になってしまったが、一言でいえばインドはすごく刺激的で、一週間の滞在ではまだまだ見足りなかったということに尽きそうである。

最後になりますが、小山さんはじめとする国際課の方々、蘇先生、同行した東大生、そして私たちの見えないところでもこのツアーに関わってくださっていたたくさんの方々にお礼を申し上げたいです。


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019        Kosetsu Uji (UTokyo)


子供に物乞いをされて

道を歩いていると7,8歳くらいであろうか。小学生くらいの子供に声をかけられる。彼は英語をしゃべることはできないので身振り手振りで伝えてくる。口、おなかに手をやりそして手を差し出しながら「Please!!」と言ってくる。どうやら物乞いのようだ。瞬間私はなんとも言い難い感情になった。はたしてここで10ルピーもやらない私は道徳的にいかがなのか。自分のお土産のためには数百ルピーの出費を厭わない一方で今必至に訴えてくる子供に対しては1ルピーもあげないというのはどの様な説明をするのかと。

 実はこのイベントの二択にはちゃんと正解があって、彼は物乞いではなく物乞い風の募金ビジネスなのである。彼の上には彼と同じような境遇の小学生くらいの子供をまとめている元締めの親分がおり、この激しく微妙な感情に人を陥れるビジネスに手を貸さないためにも断固「NO」というべきであるということをのちにネットで知った。もちろん彼が本当の物乞いであるかそれとも物乞い風ビジネスの一従業員であったかを確かめるためには彼自身にそれを聞く必要があるためそれは明らかにはならない。

 ただこれは思考実験としては少し面白く感じたのでもう少し掘り下げてみたい。先ほどの例とは関係なく格差というのは確かに存在する。それは日印間においても、インド内においても、もちろん日本国内においても。普段大学と家を行き来し、研究室で似たような学生とのみ関わっていると、ともすると世界が自分と似たような境遇の人間ばかりで構築されていると思ってしまいがちであるが、実際に物乞いを受けたとしたら、そしてその物乞いが本当に明日を生きるか死ぬかのレベルで困っているという可能性も十分ありえる。そのときあなたはどの様な行動をとるだろうか。色々なパターンが考えられると思う。貧困層を救う義務は国にあるので自分は関係ない?コンビニで出たおつりをこれからはすべて隣にあるユニセフの募金箱に寄付する?街で出会った物乞いやホームレスにお金を渡しながら歩く?

 ちょうどこれとまったく同じ構造の議題がツアー中にJICAを訪れた後バスに乗っている最中、学生の間で議論になった。もっとも抽象的に言えば貧困層を救うためにはどうすればよいのか。ここで救うとは日本国憲法でいうところの「健康で文化的な最低限度の生活水準」程度のものであるがその程度まで生活の格差を縮小するにはどうすべきであるかということをバスに乗ってからホテルに着くまで延々議論していた。例えば我々が訪れたIITデリーやTata Consultancy Servicesはかなり高い生活水準を維持している。もちろん大学には税金が使われているのでその分を貧困層の食糧や住宅の補助に充てるべきではないか。あるいは教育が貧困の連鎖を断ち切る唯一の手段なのでもっと教育を受けさせる、そのためにはどうすべきであるか。結局は富裕層のために作られた社会政策では貧困層を救うことは難しいのではないか。とこのような調子である。

 もちろん我々はみな工学系なので専門的な社会福祉に関する知識も持っていないし、インドの現状をつぶさに把握している訳ではないが、それでももてる知識の中で真剣に議論をしたように思う。そしてこの議論が始まったということこそが今回のツアーの本質的な意義であるように思う。

普段日本で生活していれば中国や韓国あるいは米国くらいであればニュースに触れる機会も多くキャンパスにも中国人留学生が多いなど興味を持つきっかけも多いがインド人は留学生も確かにいるもののニュースの中でインドに関連するものは非常に少ないだろう。しかし、これからインドは確実に世界のなかで大きくなっていくことは間違いない。それはIITの生徒やTCSの社員の方の優秀さを見ても明らかであったし、HONDAやその他の工業分野の現状を見ていれば明らかである。そんな中でインドを含め鋭く発展している最中の国々の情勢にあまりにも無関心であるというのは非常によくないであろう。たとえ理系の生徒であったとしても。事実JICAの支援事業にもあったように日印共同のインフラプロジェクトは加速度的に増えていっている。それらを実際に協力していくのは重工会社やゼネコンであり、理系のエンジニアである。

今回のツアーでも確かに直接的に学んだこともあったであろうがそれはかなり少ないのではないかと思う。むしろこれからインドについて学んでいくきっかけを与えていただいたと考えている。そのために様々な場所を訪れ、多様な人と触れ合えたのではないか。今回のツアーで感じたことや体験したことを踏まえればきっと他国や多文化に対する見方を少しずつ変えていけると確信している。

少々優等生的な主張になってしまったが、今回のツアーは普通の観光とは違って大学や企業、団体などあらゆる機関と調整を行わなければならず、そういう意味では個人で行くことは到底不可能であろう。それらを全部コーディネートしていただいた蘇先生及び、事務関連のことをしていただいた小山さんに改めてお礼申し上げたい。本当にありがとうございました。

宇治 孝節


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019        Tatsuya Otsuki (UTokyo)

インドの現状


インドという国から何を連想するだろうか。IT・人口爆発・多宗教等たくさんあると思うが、渡航前の私にとっては「エネルギー」であった。2016年にパリ協定が結ばれ世界全体がクリーンエネルギー移行への舵をきっており、太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギーの導入が促進されている。このようなエネルギー市場で注目を浴びているのがインドである。私の所感としては、日本の約9倍の国土面積を持っておりかつ日照時間が長いため、インドには太陽光発電のポテンシャルがあり、また多く導入されているのではないかという印象を持っていた。そのため、このインドツアーにおいては、インドにおける再生可能エネルギー導入やエネルギーインフラの現状について学べればと思い臨んだ。

結果から言ってしまうと、私の持っていた所感はとても楽観的過ぎるものであった。まず空港に到着しホテルまでの移動の際に感じたのは、日が暮れていても分かるほどの空気汚染。交通量の多さや、歩道の未整備が影響しているようであった。我々が滞在したのは首都であるニューデリーであったため、インドの都市の発展ぶりを見れると高まっていた期待とは裏腹な現状に気を落としつつも、とりあえずホテルに着き休息をとる。時差は3時間半日本より遅れているだけでありとても順応しやすかった。

最初二日間はインド工科大学デリー校に訪れた。大学の敷地は異世界のような空間であった。道路は完璧に整備されており、心なしか空気中を舞う砂やほこりもなかった。

大学では、講義の受講と研究室の訪問を行った。講義室の大きさ・受講学生数は概ね東大と同様のものであった。講義中の教授・学生間のインタラクションは積極的で、アメリカの大学と似ていると感じた。特にインド経済の授業の際は学生が絶え間なく発言しており、学生が授業を積極的に構成していた。私の語学力の問題もあり、圧倒されるとともに彼らとの差を感じざるを得なかった。研究室訪問では、材料成型のプロセスを研究しているProf. Kumarの研究室を訪問させていただいた。見学した設備は切削・溶接・鋳造等を行う工作室であった。驚くことに一年生の学生は専攻に関わらず、全員がすべての工作室を経験するという。Prof. Kumarの「エンジニアとして最低限の素養をつけてもらう。コンピューターサイエンスだろうが都市工学だろうが関係ない。」という言葉が印象的であった。

また学生と交流する機会があり、寮の様子を見せてもらうことができた。キャンパス内に講義棟から徒歩で10~30分程度の距離に学生寮が点々とあり、学生たちは徒歩・自転車・学内バスなど各々登校しているようである。ほとんどの学生が寮生活をしており、寮生同士の仲がとても良さそうであった。というのも、年に一度寮対抗の大会があるようで、エントランスホールには過去のトロフィーが飾られていた。種目はスポーツだけでなく音楽・演劇など多岐にわたり、まさに総力戦といった印象を受けた。設備に関しては、食堂・自習室に加えてみんなで集まってテレビを見るためのテレビ室があり、クリケットの試合を観戦するのだそう。また個別の部屋は、二人一部屋になっていた。大きさはベッド二つ入れるともう入口以外埋まってしまうような程度で、普段はベッドの上で生活しているようである。とても衝撃的であり、いかに日本が恵まれているかを再確認しつつも、インドのトップ校であるIIT Delhiでこの状況であることに落胆せずにはいられなかった。

週末には観光を楽しみつつ、残りの日で企業やNGO等の事務所にお邪魔させていただいた。ここでは、特に印象的であったNGOのTARAとホンダの工場について記載する。

TARAとは”Technology and Action for Rural Advancement”の略称であり、主に環境負荷に配慮した技術の開発及び普及を行う団体である。彼らの頭にあるのは森林破壊への危機感であった。恥ずかしながら認識していなかったのだが、インドの国土に占める森林の割合は2割程度であり、加えて人口増加に伴う住宅地とインフラへの木材使用の需要が高まっているというかなり危機的状況にあるのだという。ここでは環境負荷の低いレンガの作成や、紙のリサイクル等の設備を見学した。見学を通して驚いたのは研究設備のレベルである。「研究」とはいっても屋内で薬品を扱うようなものではなく、屋外の小屋で古めの器具を用いて行っており、設備投資への必要性を強く感じた。

ホンダの自動車工場では簡単な説明を受けた後、工場の溶接・組み立てプロセスの見学を行った。製造プロセスにおけるオートメーション化はあまり進んでいないような印象を受けた。また様々な場面で日本語起源の言葉が使われていて日系企業らしさを感じる場面もあったが、工場内の標識がヒンディー語表記であるなど、英語が使われていないものが多いことから、労働者はインド国内の地域に限定されているのだろうということが考えられた。

以上がこの6日間の滞在の報告であるが、感じたことはただ一つ、インドはまだまだこれからの国であるということだ。ここ十数年でインドの人材が優秀であると世界で認められ、その巨大な国土と人口増加からインドは世界に影響をもたらす主要国となってきていることは事実である。ただ、そのイメージが先行しているだけで、インド国内の実状は大きく異なる。確かに新幹線や鉄道の建設の計画が立っており、都市の様相がいわゆる先進国のそれに匹敵するようになるのはたった数年後の話かもしれない。しかし、重要なのはインドに住んでいる人々がその環境を望んでいるかもしくは適応していくかである。インドのニューデリーの町を構成しているのは、一部のエリートだけではなく、露店を出していたり、リキシャ(東南アジアのトゥクトゥクのようなもの)を運転している人、平日の昼間から道端でゆっくりしている人、ホームレスの人等々がおり大部分を占めている。インドのこれからは、これらの人々にかかっていると考える。彼らがいわゆる「近代化」を望み、環境を変化させる「意思」を持てば一瞬にしてインドは世界を代表するような都市を作り上げるだろう。逆に言えば、現在のインドのイメージと国内都市の現状の差は、このような人々の「意思」が根底にあるのではないだろうか。

この研修を通して、インドに対する認識が改められたのは前述のとおりであるが、加えてエネルギー問題に対する捉え方も変わった。比較的恵まれている日本という国に生まれ育ち、その中でも比較的恵まれた環境に身を置いてきた自分にとって、エネルギーとは生活の根源にありそれ無しでは生きていけない基本的なものというイメージを持っていたように思う。しかし、今回インドに訪れて、もしここで生まれ育ったら、エネルギー問題に関心を持つことはあっても、それが一番に大事だと考えることはないだろうということに気付いた。もちろん世界の気候変動の現状は危惧すべきものであるが、国単位で考えればもっと必要な基本的要素が往々にして存在する。エネルギーという観点からある国の現状を考えるには、ある程度の前提条件が整っている必要があるのだ。世界規模で考えられている問題を地域レベルに落とし込むと様相が変わってくるということを再認識させられた研修であった。


24 Apr. 2019 / India Report, Students' Voice

India Tour Report 2019        Wenyue Xuan (UTokyo)

Before this tour, I have never been to India. I guess the impression I held about India was a mixture of facts, imagination, and maybe even stereotypes. Thanks to the program offered by Engineering School of U Tokyo, I am able to experience the country, its top university IIT, and leading companies and institutions myself. Moreover, thanks to all the people I met and talked with, including professors, fellow students from U Tokyo and IIT, representatives from companies and institutions, and so forth, I spent an unforgettable time during the India tour. I would like to write about things that left me the deepest impressions, though there are too many things that could be talked about.

1) IIT Visit

The first class we attended was a computer science class. I knew that the ratio of male and female students in CS class was always imbalanced, but I was still a bit of surprised to see the ratio in this class (refer to the picture below). Another surprising thing is that during all the four classes we attended, I hardly saw students using smartphones. Based on my past university experiences, I think it can be called “miraculous”. As college students, we all know that using smartphones during classes can be distracting while it is not easy to refrain from using it, including myself. I think IIT students are examples to learn from. Later, we met our IIT student partners, who were amiable, intelligent and passionate. I also got the feeling that their ambitions and optimistic spirit spoke for the future of this country. 

The CS class we took


During the lab visit session, our group visited professor Bolia in the Department of Mechanical Engineering. Besides the discussion on academic topics, we also talked about social issues. Professor Bolia mentioned his concern for GDP as a dominant notion in today’s discourse worldwide, which is likely to engender people to consume and own more. Instead, he noted that we should give more thoughts to “giving back”. During our talk, I was also inspired by how academic research was closely tied and could contribute to the betterment of society. In terms of career choice, his idea that “when taking money out of the equation, a lot of options will be open” also let me rethink about my future decision.

2) Company/Institution Visit

The visit to Honda was my first factory tour, so I was very excited about it. During the tour, I asked a representative who was in charge of training the employees whether he liked the Honda factory. “I don’t like it,” he said. As I was surprised at his answer, he smiled, “I love it!” Then he told me he had been working here for around 15 years (if I remember it right). I think it is one of the great happiness in life that one can get joy from the job, instead of sheerly regarding the job as a source of income. On the other hand, I think it is advantageous for the company to create an atmosphere or culture in which employees take pleasure in their work.

In the Q&A session of the presentation, I asked about the automation in the Honda factory here. A representative answered that it was relatively low compared to its counterpart in Japan. In the factory, I saw that only the welding shop involved the use of robots. The employee told me that it was because in other manufacturing processes, it cost less to hire labor than introducing the use of robots. It made me realize the demographic dividend brought by the high ratio of the working age population in India.

3) Other thoughts

Air pollution is a serious issue in India. The air quality reminded me of my days in Beijing, the capital of China that is also plagued by air pollution. But unlike in Beijing where many people would put on masks when the AQI (Air Quality Index) rose, I did not see any Indian wearing masks (One time during the trip, an IIT student kindly reminded that “you can put on the mask if you want”). Meanwhile, I saw roads with dirt, bumps, and hollows, little children begging for money in the night bazaar, and chaotic traffic.

Air quality in Delhi (There are comparatively good days and bad days, and this day was pretty bad)
Night Bazaar in Delhi

I used to think that environmental issues should be given priority to in the long run. In the country, however, where the basics like water, sanitation, health care, and education are scarce for many people, where there is a pressing need for infrastructure construction, the country has to sustain economic grow and offer better living conditions for citizens. Achieving sustainable growth is critical but always thorny; it is a big challenge for India, but it also offers huge opportunities for domestic and international businesses that can offer technological, financial, or managerial solutions.


21 Jan. 2019 / Activities

Special Admission for “English Program on Intelligent Information Processing”


The graduate school of information science and technology will begin a new program called “English Program on Intelligent Information Processing”.

The application deadline is January 31th, 2019.

Please click the following link right away for the details:
https://www.i.u-tokyo.ac.jp/edu/epiip/entra_e.shtml


14 Dec. 2018 / Activities

Application deadline is December 20

Application deadline for ESEP-INDIA 2019 is 24:00 December 20,2018 (JST)

Apply early!




30 Nov. 2018 / Activities

Applications for ESEP-INDIA 2019 started!

We’re accepting applications for ESEP-INDIA 2019 till December 20, 2018.

Apply via the online application system T-cens (https://t-cens.iapply.t.u-tokyo.ac.jp/t-cens_sp/login.php).

Please visit our website https://ijep.t.u-tokyo.ac.jp/internship/for details.

 


02 Nov. 2018 / Activities

Applications for ESEP-INDIA starts on November 15!

Following the successful IJEP Internship Program, School of Engineering will start a new program called ESEP- INDIA(Engineering Summer Education Program INDIA) .

Some conditions have been changed. For the details, please visit our website .

Application for  this program, starting on November 15, is accepted only via the online application system T-cens.