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28 Apr. 2017

India Tour 2017 Report     Ryota Saito( UTokyo )

・affiliation :Master Course of Civil Engineering, the University of Tokyo
・duration :March 12th-20th, 2017
・program :India Tour 2017
  1. はじめに

私は今回のツアーで初めてインドに訪問した.1週間の滞在中に,IITデリー校の学生との交流,デリーメトロの視察,タージ・マハルの観光を通じて,私のインドに対する先入観は大きく裏切られた.本報告書では,私の体験したこと,感じたことを述べる.

  1. ゲストハウスでの生活

私たちはデリー校内のゲストハウスに1週間宿泊した.部屋は日本のホテルと比べても遜色ないほどの部屋の広さ,家具,清潔さを兼ね備えており,おかげさまで部屋では快適に過ごすことができた.ただ,ときどき水道の水が蛇口を閉めても止まらなくなってしまったこと,シャワーのお湯が出なくなってしまったことにはほとほと困らされた.

IITデリー校内のゲストハウス

  1. インドのカレー

ゲストハウスの食事は,やはりインドといえばカレーであり,細長くてパラパラしたインド米とチャパティと一緒に出てきた.なお,こちらが食事をする手を止めなければ,無限におかわりを持ってきてくれる.インドはベジタリアンの人が多いらしく,肉は入っておらず,ヒヨコマメやインゲンマメなど豆の入ったカレーが多かった.豆はたんぱく質を多く含んでおり,高栄養価なので,十分食べごたえのあるカレーあった.一言でカレーといっても,スパイスの配合,具材の種類よって,その味は全く異なっており,滞在中に幾種類ものカレーを頂くことができた.毎食カレーの生活を通して,インドのカレー文化の素晴らしさを垣間見た.

ゲストハウスで出たカレー

  1. IITの学生

 IITは,工学と科学技術を専門とする,インドの16の国立大学の総体であり,今回のツアーではニューデリーに位置するデリー校に訪問した.IITはインドの最高学府であり,倍率50倍以上もある最難関の入学試験をくぐりぬけたエリート学生が集まっている.卒業生には,Googleの現CEOであるサンダー・ピチャイ,孫正義ソフトバンク社長の後継候補だった元ソフトバンクグループ顧問ニケシュ・アローラなどがおり,世界トップレベルの人材を多く輩出している.

私たちは,IITの土木工学科の,構造力学や水理学,GISなどの講義を聴講した.講義の時間はそれぞれ1時間であり,全て英語で行われている.また,コンクリート研究室や地盤研究室などを訪問し,各研究室のPh.D.の学生に研究内容や実験器具の使い方の説明を受けた.IITの教育カリキュラムは,午前は講義,午後は演習やディスカッションのように分けられており,学生が自分の頭で能動的に考えることを要求する非常に実践的な学習環境が用意されている.

私はIITの訪問を通じて,学生の学習意識が非常に高いことを痛感した.この理由として,インド人はみなインド占星学で人生の節目ごとの自分の将来の目標を決める慣習があり,自分の人生のロードマップを持っているため,明確なビジョンを持って学習に当たっているということ,また,インドは貧富の差が大きい国であり,貧しい環境から抜け出すために勉強をするというモチベーションが日本よりも圧倒的に強いということを知った.

IITキャンパス風景

  1. デリーメトロの視察

デリーメトロは,デリーおよびその近郊に路線網を持つ地下鉄である.路線は六本あり,総延長約193km,駅は148ある.地下鉄が建設された理由としては,経済発展による交通渋滞の緩和と大気汚染を防止する目的が大きい. 2016年度の利用客は1日当たり260万人である.初乗りは8ルピー(約15円)と,インド国民が利用しやすい運賃設定になっている.

インド政府は1995年からデリーメトロ建設プロジェクトをスタートさせ,JICAがそれを今日までずっと支援してきた.デリー中心部をカバーするフェーズ1と、デリーから周辺部への延伸路線のフェーズ2に分けて実施され、総事業費約6667億円のうち、JICAは約3748億円の円借款を供与した.JICAの協力は資金面だけでなく,安全運行や車両維持管理に関する能力を向上させるため、東京メトロを運行する東京地下鉄(株),メトロ車両(株)の協力のもと,デリー地下鉄を運行するデリー地下鉄公社への技術支援を行った.

私は,デリーメトロを視察して,駅構内が非常に清潔であり,日本の東京メトロとほぼ同じレベルのサービスが提供され,インド国民の生活に完全に根付いていることに驚いた.デリー地下鉄公社が利用者に対して地下鉄内でのゴミ廃棄禁止ルールや,駅員が乗客の整理を行うために「並ぶ」という文化を根付かせた結果であるということをJICAの職員から伺った.本プロジェクトは,日本がただ単に技術支援しただけでなく,インドに文化的革新を起こしたのである.

デリーメトロ構内

  1. タージ・マハルの観光

タージ・マハルは,インド北部アーグラにある,ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが,1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設した総大理石の墓廟である.インド・イスラーム文化の代表的建築である.

インド人のガイドから,「自分は何百回もここにきているが,そのたびにタージ・マハルの墓廟を見て,感極まった思いになる.それは,晴れた時,靄がかかっているとき,朝方,夕方,いつみても美しい.」と話を伺った.

タージ・マハール

  1. 終わりに

今回のツアーを通して,インドという国のポテンシャルの高さを伺い知ることができた.インドは発展の途上にあるが,都市の様相は年単位のスピードで変わってきている.土木を勉強する身として,国の発展していく姿を間近で感じることができたのは有意義なことであった.